2011年2月2日水曜日

ゆる?い北米取材報告 -GDCもね?-

 ご無沙汰してすみませんでしたぁ。冬眠から覚めようと思ったら、あまりに春が来なくて、寒いから布団から出れずにおりました。今年も花見ができなかったくねくねハニィがお送りする「最近どうよ?」の37回目ですね?。遅くなったからGDCの報告を絡めながら、北米出張の報告をゆる?い感じでお届けするぞ。

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 ハニィがサボっている間にニンテンドー3DSが発表されました?。一般のマスコミでも「3Dメガネを使わないで3D映像のゲームが楽しめる画期的製品!」と報道されるほど、すごいことに。実際にはどんな3D演出なのか、いくらで売られるのか、ソフトはどんなものが出るのかなどなど追加情報が楽しみだね。6月に開催されるE3での大きな発表が楽しみですねん。

とその前に1月と2月の北米市場を報告していなかったことに気づいたんで、いってみよ?っ!

●2010年1月と2月の北米市場報告をまとめてしちゃうっ!

ハード(gamez.itmedia.co.jp/games/articles/1004/20/news014.html)

 2010年も第一四半期が終わってしまいましたね?。3月の報告はまだ発表されてないのだけど、2月のハード販売を見てみると、何とXbox 360が首位に! この返り咲きは何とも2年半ぶりとのこと。長い間、Wiiが君臨していたからしょうがないよね?。Wiiが落ち着いたことも要因だけど、年末に発売せずに第1四半期を待って発売した「Mass Effect 2」や「BioShock 2」などの大型タイトルに牽引されたのも事実だね。

 全体的な市場動向を見ると、売上額では1月がマイナス13%、2月がマイナス15%と、あんまり芳しくないご様子。前回の記事の通り2009年の北米は、12月に任天堂が頑張ってくれたおかげで何とか8%ダウンでとどまった感じ。でも、アナリストの言い方をすれば「Wiiが失速」、ハニィ的に言えば「任天堂がフツーになった」年明け。むしろ、2010年が始まって一転、Xbox 360やPS3向けのソフトが頑張っているんだ?って言いたいのよね。

 業界のためにはライトユーザー向けのWiiだけが一人勝ちしているのは、いいことばかりじゃないし、ゲーマーがゲームを買ってくれるマーケットも活性化してくれないとね。

 1月末に行われた任天堂の決算説明会で、ニンテンドーDSは、ギネスに登録された旧ハード「ゲームボーイ」シリーズの世界累計販売台数の1億1869万台を超えて、1億2513万台を売り上げたと岩田社長が語ったというニュースがあったけど、一人一台とは言え2004年の発売以来売れ続けていますね?。

ソフト(gamez.itmedia.co.jp/games/articles/1004/20/news014.html)

 「Call of Duty: Modern Warfare 2」は売れ続けていて、北米のマルチ(Xbox 360/PS3)での累計販売本数で1000万本を売り上げました。一方、Wiiだけに向けた(任天堂ソフトなので当たり前か)「New Super Mario Bros.Wii」は、北米で11月末に発売されて以来2月末現在で543万本。これだけでもすごいけど、ワールドワイドで考えると(もちろん日本でも爆発的に売れたので)やっぱ マリオはすげぇって話になっとります。真の意味でのワールドワイドタイトルと言えるでしょう。

 日本が期待した「Bayonetta」は2月末現在でマルチ(Xbox 360/PS3)で20万本超。あれ、確か各種レビューでも高得点だったはずなのに……。残念ながらランキングには載ってきませんでした。なぜ爆発しなかったのか? といろんな調査をしてみたけど、人によってゲーム性やキャラ性、ストーリーなどなどいろんな意見があり、総合してみるとユーザーにタイトル認知がイマイチ届いてなかったってことが大きな原因……みたい。確かにコアゲーマー向けには認知されているタイトルではあるけど、一般ユーザーに対してのアピールが足りなかったのかな。

 いいものが売れるってのは当たり前であってほしいんだけど、マーケティングやプロモーションが販売に大きく影響するのも事実。いいモノをどうやってユーザーに認知してもらうかもゲームを売るには重要なことなのだね。

 ただ、プレイしたアメリカ人に聞くと、「やればやるほど自分がうまくなっているのを感じられる稀有なゲームだ!」と絶賛の声を聞くので、今後も口コミで売れ続けるといいなと思っているハニィでしたの。

 プロモーションの話が出たので、今回ランキングしているWii向けの「Just Dance」のプロモーションのお話をしてみよかな。ものすごくプロモーション費をかけたわけでもないみたい。やり方がおもしろかったのよ。

 「Just Dance」はUbisoftが発売したダンスゲーム。バランスボードを使わず、リモートコントローラとヌンチャクのみでダンスする、とっつきやすいゲームなのね。もちろん「U can't touch this」など有名曲を使っていることも訴求ポイントだけど、FacebookやTwitterなどでゲームのコミュニティを通して、コンテストをしていることを告知。ユーザーは「JUST DANCE」のサイトに登録して、Youtubeにダンス動画を投稿するのだけど、週に1人勝者が選ばれて、勝者には1000ドル(約9万4千円)の賞金が贈られるというプロモーション(2010年1月11日?3月31日の10週にわたって行われた)なのよ。

 このプロモーションのポイントは、賞金があるってことよりも、実はYoutube上でコミュニティとして盛り上がるってことで、実はまんま「バイラル(口コミ)マーケティング」の成功例とも言えましょう。実は、ソフトを購入していなくても応募者になれるってことから考えても、「直接ソフトを売る」ことでなく「コミュニティを盛り上げる」ことが直接の目的であることが垣間見えますね?。2009年11月に発売したこのソフト、2010年2月末時点で90万本近く売り上げてますよ。恐るべし、口コミマーケティング。

●Game Developers Conference(以下GDC)2010はどうだったの?

 さてさて、もうかれこれ1カ月前の話になりますな。例年通り、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市内のMoscone Centerで3月9日?13日までの期間開催されましたの。400を超えるレクチャーやパネルディスカッションが行われたとさ。

 参加費が高い(パスの種類にもよるけど1人10万円以上しまーす)ことで有名なこのGDC、主催者側によると、参加者は1万8250人(2009年度:1万7000人からの微増)とな。

●GDC2010のキーワード その1「ソーシャルゲーム」

 去年のGDC2009では、大きなテーマが「iPhone向けのゲーム」だったんだけど、2010年は一転、ソーシャルゲーム(日本で言うSNSゲーム)が大きなキーワードでした。例年行われているインディーズゲーム、シリアスゲーム、モバイルゲームとかのセミナーに加えてFacebook関連のセミナーが初日から開催されていたのも、ソーシャルゲームのカンファレンス「V-CON」の追加も、このトレンドを裏付けてたね。

 どいつもこいつも(笑)、これからはソーシャルゲームだ! って言ってたけど、ハニィ的にはYesとNo。うーん、要は大きなIPを持ってる人達には「YES」、小さな会社が大きな夢を追い求めて始めるなら「NO」。

 去年の「iPhone向けゲーム」が象徴するように、GDCで騒がれるってことは、もうとっくに始まってるってことなのよね。ハニィがFacebookにソーシャルゲームを! って初めて聞いたのは2年くらい前。つまり、もう先駆者利益が確定されちゃってるってこと。すでにmixiやFacebookでソーシャルゲームを成功させている方々には、先見の明を褒め称えたい限りだね?。

 でもね、もう市場ができあがっちゃった今の段階で、これから参入するのは、小さな会社や個人にはリスクであることは間違いないのよ。ソーシャルゲームの開発費はパッケージ販売に比べると金額的にはリスクが小さいので、トライする価値は残されてるかもしれないから、全否定するつもりはないですけどね。

 「フリー&アイテム課金」のビジネスモデルを考えると、最初の段階ではフリー、つまり、追加アイテム/コンテンツを購入してもらって初めて回収が始まる、という意味では、まず認知度を高めて遊んでもらうことから入るわけですね。でも、イノベーティブなものであれば、目を引いて口コミで広がっていくってフェーズも、もう終わってる気がする。ひしめくたくさんのコンテンツがもう既にたくさんあるから。また、ユーザーが終わりなく長い間継続的に遊んでしまうタイプのゲームが多いので、一度始めたものをそんなに簡単に切り替えないっていう後発にはツライ部分もあるんですな。

 モバイルゲームがそうだったように、iPhone向けがそうだったように、先駆者がひとしきり市場に参入すると、大手IPホルダーがIPという強力な認知度を武器に参入して一気に市場が盛り上がる、を繰り返している気がするんだよね?。

 ということで、今後参入すべきは大手IPホルダーやIPライセンシーでしょうね。もしくは大きなプロモーション力のあるブランドでポータルごと盛り上げちゃうか。EAのPlayFish買収もこの一連の流れと読むのが正しいと思われます。ソーシャルゲームがここまで市民権を得ると、あとはIPとプロモーションの力で更に市場を大きくできる! と思うんだよね?。

 オンラインゲームやアイテム課金ノウハウにもっとも遠い日本の大手ゲームパブリッシャーが、流れに遅れずに参入してくれることを切に願いますな。

●GDC2010のキーワード その2「Unity」

 GDCはレクチャーの集まりなんだけど、それと平行してゲーム開発者向けのExpoも行われていて、今年はすごい盛り上がってた気がしましたね。数年前のちいちゃなE3の数倍盛り上がってた?って、現地の人たちとの共通認識でした。

 E3と違うのは、ゲームエンジンやソリューション、ツールなど様々な第三者技術の展示って部分かな。ゲームのハイスペック化、マルチプラットフォーム化によって、内製ですべてを準備することはほぼ不可能となった昨今では、北米デベロッパーの中では第三者技術を上手に取り入れていく傾向が一般的になってるんだなぁと、そういう展示に群がる人たちを見てあらためて思ったハニィでしたけどね。展示する方もそれに応えるべく、実際にゲームで使われた例を挙げてのデモとか流してプレゼンしてて、若いデベロッパーさんたちがこぞって聞きいってました。



 中でも目を引いたのは、「Unity」。現行(Ver.2.6)のWindows、Mac、Wii、iPhone向けとされていた同エンジンは、Webブラウザへの出力も可能で、今回発表されたVer.3.0でXbox 360、PS3、iPad、Androidをサポートすることを発表! 現地のデベロッパーに「今年のGDCの目玉は?」と聞くと、ほとんどの人がこのエンジンの話をしてたんだ?。ハニィはノーマークだったので、急いで見に行ったもんです(笑)。

 驚くのはその性能だけじゃなくて、数千万とか数億円とか言われる既存の大きなゲームエンジンと比べて破格の値段設定を発表したこと。基本機能のみなら無料(アップデートが受けられないけどね)。 「Unity Pro」はサポートもついて、1500ドルくらい(日本円で13万5000円程度)の設定とな。これってさぁ、中小ゲームデベロッパーだけじゃなくて、もしかして「個人」クリエイターがハイスペック機に向けてゲーム制作ができる時代が来るかも? という期待感をあおるよね?。下剋上が起こるゲーム産業じゃなきゃおもしろくないのだ!

 多くのデベロッパー君たちがデモに群がる中、「Unreal」などの既存のエンジンプロバイダーはいかなる思いでいたのか、も察せられるけど、「Unity」は、今回の台風の眼であったことは確かですなぁ。日本でも使う人たちが増えることを望むハニィでしたぁ。

●Game Developer's Choice Awards

 その名の通り、市場やユーザーから投票されるのではなく、デベロッパーからの投票で行われる「Game Developer's Choice Awards」。GDCの中日に発表されました。「Uncharted2:AmongThieves(日本名:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団)」がゲームオブザイヤーをはじめ5冠に輝きましたぞ。

 残念ながら、日本発のゲームソフトは本年も受賞できませんでした。でも、「この賞を取ったからと言って売れるわけではない」と揶揄されることも少なくないんですがねぇ。

受賞タイトル一覧

?<Game of the Year>Uncharted2:AmongThieves (Naughty Dog)
?<Best Game Design>Batman: Arkham Asylum (Rocksteady Studios)
?<Best Writing>Uncharted2:AmongThieves (Naughty Dog)
?<Best Debut Game>Torchlight (Runic Games)
?<Best Technology>Uncharted2:AmongThieves (Naughty Dog)
?<Best Handheld Game>Scribblenauts (5th Cell)
?<Best Visual Arts>Uncharted2:AmongThieves (Naughty Dog)
?<Innovation Award>Scribblenauts (5th Cell)
?<Best Audio>Uncharted2:AmongThieves (Naughty Dog)
?<Best Downloadable Game>Flower (thatgamecompany)

 ゲーム業界に貢献したとされる個人に対して贈られる各賞は次の通り。

<受賞一覧>

?<Lifetime Achievement Award(生涯功労賞)>John Carmack 
Id Softwareの天才プログラマーと言われた。「DOOM」「QUAKE」を開発、FPSジャンルの創始者と言われる。

?<Pioneer Award>Gabe Newell
Valve Softwareファウンダー。「ハーフライフ」シリーズの開発はもとより、PC向けゲーム配信ポータル「STEAM」を運営。

?<Ambassador Award>Penny Arcade (Jerry Holkins, Mike Krahulik, Robert Khoo)
ウェブコミックサイト「PENNY ARCADE」を運営している。

●GDC2010まとめ

 ソーシャルゲーム、OnLiveなどのオンデマンドなどなど、ゲームプラットフォームは多様化してるなぁとか、第三者技術への依存によってコストとリスクを分散してるなぁとか、GDC2010を通じて、ゲームプラットフォームに縛られて閉塞化してる日本の雰囲気とは違うなぁと思っちゃいました。北米ではゲーム業界自体がいろんな方向に出口を探してるってのを目の当たりにした感じ。

 こんな有益で、大きな流れが見られるGDCだけど、E3が去年から大きく再開されたこともあってか、日本からの参加者が減少してるってのも気になりましたなぁ。聴講者が減っていることに加え、講師の数も数年前に比べて激減していることも加えておかなければなりません。アワードに日本のタイトルがひとつもないことも考えると、北米ゲーム市場における「日本離れ」を感じざるを得なかったところはありますな。

 2011年は2月28日?3月4日まで、今年同様サンフランシスコ市のMoscone Centerで行われる予定とのことですんで、ぜひ多くの人が日本から参加して、この温度差を肌で感じてほしいと思ってやみませんぜ!

●ハニィのあとがき

 久しぶりの記事でしたけど、いかがでしたか? 国内だけ見てるとおいてかれますぜ? マジで。って、GDCに行って思ったですよ。予想してるより海外と国内の業界のギャップを感じたハニィでしたん。

 大きく戻ったE3も6月15日?17日までいつものLAコンベンションセンターで行われますんで、ぜひ見に行きましょうね?。海外で年末に向けてどういうタイトルが開発されてるかってのがいっぺんに見れるものすごいチャンスなんでね! かく言うハニィも、E3もTGSもミーティング三昧でゆっくりブースを見れないのがいつも悔しいんだけどね。E3はミーティングの合間に見るには広すぎるんで、半日だけすっぽり空けてE3会場を見るスケジュールを作っておくべし。

 3月に発売された「God of War III」や「Final Fantasy XIII」など大型タイトルの結果もそろそろ出てくるね?。結果が楽しみですんでできるだけ早くリポートしたいですのぉ(ホントか?)。

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引用元:住宅 | 柏市

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